システム開発費用及び逸失利益の請求に対する拒絶(訴訟)
- 依頼者
- 従業員数500名を超える大企業
- 相手方
- システム開発及びホームページ作成等を行う大企業
- 弁護士法人ALGに依頼した結果
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相手方からの請求額約2600万円600万円
事案の概要
クライアントが、システム開発会社に対して、自社のユーザー用のポイントサービスを管理するシステム及びその運用を委託したところ、完成されたシステムが当初の要望を反映したものではなく、運用に至らなかったため、契約を破棄して、開発費用の残金の支払いを拒絶していました。
システム開発会社からは、当初の説明に則して開発されており、実際に運用することも可能である状態に整えていたことから、システム開発費用の残額及び完成後に受託予定であった運用及び保守によって得られるはずであった逸失利益が請求されていました。
双方は、解決に向けた協議をしていたものの合意に至らず、訴訟が提起された段階で弊所へ相談がありました。
弁護士方針・弁護士対応
システム開発の経過の中で、クライアント担当者の変更により、当初の要望としてどのような内容を伝えていたのかが、必ずしも明確ではなくなっていました。
しかしながら、クライアントの立場からは、自社のユーザー用のポイントサービス運用のために必要なシステム及びその運用を期待していたところ、システム開発会社からは、既存のシステム(パッケージ)を改良する形でしか提示されておらず、クライアントのユーザー向けというクライアントの希望とシステム開発会社の提案には齟齬があるように見受けられました。
また、システム開発にあたって、要件定義書や仕様書などが作成されていなかったことからも、クライアント用のシステム開発ではなく、既存のシステムの流用によって行われていたことをうかがわせました。
これらの点から、契約において求められていた完成品が制作されていない以上、費用負担する必要はないと主張することを検討しました。
また、損害として主張されていた内容について、精査したところ、実際に発生したとは思われない費目が含まれていたほか、損害の見積もりの根拠とされていた人工の計算方法などにも不合理な点が見受けられたため、損害額を減額することができると考えられました。
システム開発会社から請求されていた費用の項目の中には、逸失利益が含まれていたところ、当事者間の契約において逸失利益を排除する合意が含まれていたことから、この点も支払い義務がないと考えられました。
解決結果
開発会社の主張する損害項目に対して詳細な反論を行ったうえで、証人尋問を通じて、実際に必要となった損害部分と逸失利益とみられる損害部分を区別し、支払うべき範囲を明確にしました。
結果として、裁判官から尋問内容を踏まえた心証の開示を受けたうえで、請求されていた金額の4分の1程度の金額のみを支払う内容で和解が成立し、解決に至りました。